湿った墓 ギャラクシー foil 【同梱不可】

湿った墓 ギャラクシー foil
Watery Grave unfinity ギャラクシーfoil
トラフグの白身をそぐように切り、皿にきれいに盛り付ける鈴木光二さん=福島県相馬市中村の割烹「やました」で2022年10月18日午後3時3分、柿沼秀行撮影 拡大
トラフグの白身をそぐように切り、皿にきれいに盛り付ける鈴木光二さん=福島県相馬市中村の割烹「やました」で2022年10月18日午後3時3分、柿沼秀行撮影

 調理台に置いたトラフグの身を、細長い専用の「てっさ包丁」でスーッと手際よく切り、皿に円形に並べていくと、透き通った身が一層輝きを増した。「白身の王様です」。1984年創業の福島県相馬市の割烹(かっぽう)「やました」2代目、鈴木光二さん(40)は断言する。そのトラフグは今、県沖で水揚げ量を伸ばしており、鈴木さんを含め多くの人が「地元活性化の起爆剤に」と期待している。

 県水産海洋研究センターによると、2019年に2・8トンだった水揚げ量は、たった2年でほぼ10倍の27・8トンに膨れ上がっている。海水温の上昇や親潮、黒潮の海流の変化などが背景にあるとみられ、福島にとってトラフグは、上げ潮に乗れるかどうかの鍵を握っているともいえる。

 県内の漁業は東京電力福島第1原発事故を受け、大きく変化した。操業海域や日数を限定した県漁連の試験操業は21年3月まで続いた。今も本格操業に向けた移行期間が続き、トラフグを含めた21年度の県内の水揚げ量は原発事故前の2割弱にとどまっているのが現実だ。

福島県沖のトラフグの水揚げ量 拡大
福島県沖のトラフグの水揚げ量

 風評もないとはいえない。21年に県水産事務所が流通業25業者から聞き取った風評の影響などの調査では、県産表示の魚は他の都道府県に比べて安値だ▽東北から離れた場所で敬遠される傾向がある――などの声が聞かれた。

 それだけに、地元の水産関係者や料理店がトラフグに寄せる期待は大きい。相馬双葉漁協では今年1月、はえ縄漁でとれた天然トラフグを「福とら」と命名しブランド化に動き出した。7月には漁業関係者や相馬市、市商工会議所などでつくる「市『福とら』活用推進協議会」が発足し、PR策を検討している。

 ネックは提供する店が少ないことだ。県によると、毒を取り除く「身欠き」作業ができ、店に出せる届け出をしているのは222施設ある。ただ、鈴木さんによると、実際は「わざわざ手のかかる身欠きをする調理師は少ない」と言い、地元の天然トラフグは多くが他県に出荷されているという。

 地元で消費され、認知されなければブランドとして成立しないとの声も聞かれる。トラフグの取扱量日本一の山口県下関市から市場関係者が今年9月、相馬市の市場を訪れた。その際、水揚げしたフグをたるに詰めすぎてストレスがかかったり、かみ合わないように歯を処理する方法を誤ったりして、不慣れなためにフグの扱いをおろそかにするケースが散見されるとの指摘を受けた。フグの文化が根付いているとはいえない。

 こうした状況の下、県もフグ処理師試験の制度を導入する準備を始めている。国が20年に全国統一の試験を行うとするガイドラインを作成したこともあり、県の担当者は「浜通り地区が盛り上がっているだけに早く体制を整えたい」と話す。

 それでも、試験の手数料などを決めて条例化する必要があり、詰めの作業はこれからだ。市の「協議会」構成員でもある市観光協会の荒秀明事務局長(50)は「資格を取ろうと思ったら他県に行くしかない。知事の免許制でもあるので、力を入れてほしい」と求めている。

 県相双地方振興局企画商工部の高林正美主幹は「県としてサポートできる方策を探っているが、具体化には至っていない。地元の要望を聞き、アドバイスしながら魅力づくりに貢献したい」と話す。

    ◇

 創業時からフグ料理を提供してきた「やました」。鈴木さんは父を継いで20歳のころにフグ処理師の免許を取った。

 東日本大震災では店舗が半壊し、原発事故で妻と幼い娘2人を連れ、親類のいる千葉県船橋市に2カ月ほど避難生活を経験した。試験操業期間に入ったため地元の魚も手に入らなくなり、「1年ほどはまともに営業できなかった。先が見えず、店をたたもうかと思ったこともあった」と振り返る。

 そんな苦境を救ってくれたのが「福とら」だ。以前は養殖のフグを仕入れていたが、水揚げ量が上がった3年ほど前に相馬の天然トラフグに切り替えた。養殖ものに比べて輸送コストが抑えられ、何より「見た目も歯ごたえもまったく違う」といい、東京や大阪など県外から来る観光客に喜ばれている。

 下関市にも足を運ぶ鈴木さんは「向こうは漁業者や仲買人など携わる人たち皆で盛り上げようという雰囲気があり、羨ましい」と漏らす。布袋の中で仲買人が競り人の指を握って買値を示す「袋競り」が有名だが「これを見せるのもパフォーマンスだと思う」と言い、ニュースで報道されることで集客につながっていると見ている。「こうしたことは相馬でやっても面白いのでは。フグ食文化はまだまだ。安全に食べてもらう土台を築くためにも、県には積極的に動いてほしい」と望む。

 一方、福島第1原発では来春にも、構内にたまり続ける処理水の海洋放出が始まるとみられ、新たな風評が生まれる懸念もある。鈴木さんは「トラフグはそれすらはねのける力がある素材だと思っている。単に水揚げ量が多いことを喜ぶだけでなく、地域が潤う本物の『福とら』になってほしい」と願っている。【柿沼秀行】

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